クレジットカードを作るときには、買い物をするときに利用できる金額の上限である「ショッピング利用枠」のほか、現金を借りられる金額の上限である「キャッシング枠」を設定することができます。
つまりキャッシングとは、クレジットカードでの現金を借り入れる機能のこと。
利用方法は、銀行などの提携金融機関やコンビニATMの差し込み口に、クレジットカードを入れ、タッチパネルで操作することで、借り入れをすることができます。
ほかにも、インターネットや電話で申し込み、指定口座に入金してもらうこともできます。
なお、返済方法は1回払いとリボ払いがありますが、選択できるケースが多くなっています。
返済は、ショッピングと同様に口座引き落としが一般的です。また、キャッシングの場合は、海外のATMを利用して、現地通貨を借り入れできるのも特徴の1つです。
そして、クレジットカードでキャッシングをする際に覚えておきたいのが、「金利手数料がかかる」ということ。
例えばクレジットカードで買い物をする場合、金利手数料が無料の一回払いを活用している人も多いと思いますが、キャッシングの場合はどの支払い方法を選んでも、金利手数料がかかります。

カードローンとの違いは?
では、キャッシングと「カードローン」との違いは何でしょうか。
カードローンとは、銀行やノンバンクで発行される専用ローンカードで、現金を引き出すこと。最近テレビCMでよく見かけるのがこちらです。
カードローンにはショッピング機能が付いてなく、あくまで現金借り入れ専用カードとなっています。カード会社の審査結果に応じた限度額の範囲で借り入れができます。
借入限度額はキャッシングよりも高めに設定されています。
利用方法はキャッシングと同様に、提携金融機関やコンビニATMを利用したり、インターネットや電話で申し込んで、指定口座に入金してもらうことになります。
返済方法は各社によって異なり、リボ払いを採用しているものが多くなっています。返済はATMからのカードローン口座への入金が一般的で、銀行カードローンの中には口座引き落としができるものもあります。
また、カードローンは海外では対応していないため、国内のみの利用となります。
なおJCBでは、クレジットカードによるキャッシングとカードローンの両方を扱っていて、返済方法はどちらも「1回払い」か「リボ払い」となっています。
キャッシングとカードローンでは、金利手数料にも違いが
◆キャッシングの貸付利率例
- JCBクレジットカード…年15~18%
- 三菱UFJニコスカード…年14.94~17.94%(一般カード)
- 楽天カード…年18%
◆カードローンの貸付利率例
- JCBカードローン「FAITH」…年4.4~12.5%
- 三井住友銀行カードローン…年4.0~14.5%
- 三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」…年1.8%~14.6%
このように、金利手数料はキャッシングのほうが高く、カードローンは低めになっています。いずれにしても各社で金利差があることから、自分が持っているクレジットカードのキャッシングの金利手数料を、事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
また、キャッシングの場合、「キャッシング枠」は「ショッピング枠」に含まれているため、現金を借り入れた分、ショッピング枠の借り入れ上限額が減ってしまいます。近々、海外旅行に出かける予定があったり、高額な電化製品を買う予定がある場合などは、キャッシングの利用には注意しましょう。
参考:全国銀行協会が2020年1月に行った「銀行カードローンに関する消費者意識調査(https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news320331.pdf)」では、8万人をスクリーニング調査し、その中から1万人を日本の男女・世代別人口比に合わせて抽出し、意識調査を行いました。
銀行カードローンや消費者金融、クレジットカード会社、無登録業者(ヤミ金)からお金を借りた経験がない人は約7600人。約2400人が借金の経験があり、今も借入残高のある人は約1600人です。
注目すべき点は前年度からの推移。借金をしている人の数は前年から約100人増えました。借入残高も増加傾向にあります。調査したのはコロナ渦が本格化する前なので、来年にはこの数字がもっと増えることも考えられます。
カードローンとキャッシングの違い
カードローンとキャッシング、どちらもよく耳にする言葉ですがその差はどこにあるのでしょうか。どちらも無担保でお金を借りられ、使い道は自由です。
2010年に改正して施行された「貸金業法」以前は、カードローンは毎月分割して返済する、キャッシングは翌月一括返済する、という大きな違いがありました。したがって、カードローンは金融機関、キャッシングは主に消費者金融という分け方もできました。
しかし現在は銀行系だけでなく、消費者金融系の借り入れもカードローンと呼ぶようになりました。これに対し、クレジットカードに付随する借り入れサービスをキャッシングと呼びます。
借り入れサービスを母体で考えると、銀行カードローン、消費者金融カードローン、信販会社キャッシング(クレジットカード)の3種類に分類できます。銀行カードローンの特徴は他の借り入れに比べて金利が安く、借りられる金額が大きいことです。ただし審査には1日以上を要します。
消費者金融カードローンは審査時間が短く、即日借り入れができます。金利は高めですが、無利子期間を設けている会社が多いです。信販会社キャッシングはクレジットカードを持っていれば改めて審査の必要がなく手軽ですが、借り入れできる額は最も少ないです。
返済方法はどれも分割払いやリボルビング返済、一括返済から選べるため、大きな違いはありません。銀行ローンは銀行法、消費者金融カードローンとキャッシングは貸金業法が適用されます。貸金業者からの借り入れできる残高は、総量規制(年収の3分の1が上限)の対象です。
自分にあった借り方を検討すること
このように、キャッシングとカードローンでは、さまざまな違いがあります。今まで頻繁にクレジットカードのキャッシング機能を使っていたという人は、金利面ではカードローンを利用したほうが有利です。
ただし、カードローンは返済日までに返せないと、通常よりも高い金利手数料が付いてしまうというデメリットもあります。
カードローンの金利は日割り計算されるため、返済日数が短いほど金利手数料の負担が軽くて済みます。
資金に余裕があったときなどに追加で返済(臨時返済)するなど、元本を減らしていく工夫が必要です。
いずれにしても、キャッシングもカードローンも、「一時的な借り入れ」と考えるほうが無難です。支出の無駄がないかなども確認し、家計を上手にやりくりすることを考えましょう。
