金銭トラブルの一番大きな発生原因といえば
『個人間での貸し借り』
により起こることがほとんどです。
時代が変わっても、個人間での貸し借りでの金銭トラブルは尽きません。

何故トラブルが起きるかというと、
『借用書を交わしていなかった』
ことにより、返済日や返済方法などで「言った」 「言わない」などのトラブルが発生しやすいからです。
そういったトラブルを未然に防ぐためにも、個人間の貸し借りであろうとお金を貸す側の人は、必ず借用書を絶対に交わすべきです。

- 借用書の正しい書き方
- 作成時の注意点
などを解説していくぞ!
Contents
借用書とは?お金の貸し借りには絶対必要!?

たしかに借用書を交わすこと自体、あまり経験したことがないという人も多いと思います。
詳しくしらない人のために解説していきますね!
借用書とは、お金を貸した人(貸主、債権者)とお金を借りた人(借主、債務者)の間に金銭の貸し借りがあったという事を証明し、返済を約束するための書類です。
お金が貸主から借主へ渡されるのと同時に、借主は貸主へ借用書を渡す必要があります。
個人間の貸し借りでも借用書は必須
なぜ、個人間の貸し借りでも借用書を用意する必要があるのでしょうか?

個人間のお金の貸し借りで、それがたとえ口約束だったとしても、借主は絶対に貸主に返す義務を負います。
しかし、借用書が無かった場合、
- 借りた金額が違う!
- 返済日が違う!
- 利子を取るとか聞いてない!
など、「お金を借りたのは事実だが、詳細が違う」といった事をいわれるとそこから金銭トラブルが発生してしまいます。
借用書の種類
実は借用書には
- 私文書
- 公文書(公正証書)
の2つの種類があります。
それぞれメリットとデメリットがありますので詳しく解説していきたいと思います。
私文書とは?
私文書とは自分達で作る借用書のことです!
つまり「公的に認められていない文書」ということ。
そして私文書は、残念ながら法的効力はあまりありません。


もし貸主が借主から返済が滞り、私文書の借用書を引っ下げて裁判を起こしても、すべてその借用書の中身が信用されるとは限りません。
しかし、私文書は「全く効力が無い」という訳ではありません。
ある程度、信頼できる人にお金を貸す場合、私文書の借用書でも金銭トラブルを未然に防ぐことは十分に可能なのです。
後ほど説明する「公文書」は法的効力がありますが、作るのにかなりのお金が掛かってしまいます。
公文書とは?(公正証書)
公文書とは読んで字の如く、「公的な文書」のことです。
つまり
「法的にきちんと認められた借用書」
ということになります。
公文書の借用書のことを「公正証書」といって、公正役場という所で、法律の専門家である公正人と呼ばれる人が法律にしたがって作成します。
公正証書のメリットは何といっても法的効力があるということです。
さらに公正証書は作成時に「執行認諾約款」というものを付けることが義務付けられています。
これはどういうことかというと
「約束通り返済できなかった場合は、差し押さえをしてもよい」
ということです。
公正証書は、原本が公正役場に保管されるので、改ざんの可能性が無いとみなされて裁判でもかなり信憑性の高い証拠として扱われます。
つまり、貸主からしたら本来であれば借用書は、公正証書にした方がよいといえます。
しかし、公正証書にはデメリットがあり、作るのに費用が掛かるということ。
貸し借りの金額に応じて公証人に手数料を払う必要があります(5千円~4万3千円)。
さらに正本・謄本代や収入印紙代、送料などが掛かります。


たとえば、3万円の貸し借りのために5万円描けてて公文書を作るとしたら貸主が損してしまいます…。
そのため、当サイトでは「私文書」である
- 個人で作る借用書の書き方
- 作成時の注意点
を詳しく解説していきます!
借用書の書き方!効力を発揮して無効にならないようにしよう!
それではここで「私文書」である個人で作る借用書の書き方を説明していきます。
私文書は書き方がデタラメならば何の法的効力も持たず、裁判時にはただの紙切れ同然になってしまいます。

借用書に書くべき基本的な項目
借用書には絶対に書いておくべき基本的な項目がいくつかあります。
ここではシンプルな借用書、返済方法が「一括返済」だった場合を例にご紹介します。
引用元:カードローンガールズ
項目 | 書き方 |
①借用書の作成日 | 金銭を受領した日と同じ日付 |
②貸主の氏名 | 手書きで記載する |
③タイトル | 「借用書」 |
④借主が金銭を受領した旨 | (上の「見本」参照) |
⑤貸し借りした金額 | 漢数字(大字)で書く |
⑥金銭を貸し借りした日付 | 年・月・日を記載する |
⑦返済期日 | 年・月・日を記載する |
⑧返済方法 | 銀行振込、現金手渡し、など |
⑨借主の住所・氏名・押印 | 住所・氏名は手書きで記載する |
⑩収入印紙 | 借金の額が1万円以上の場合に必要 |
これらの項目をしっかりと記入し、押印まで完了させて初めて借用書が成立します。
借用書作成時の注意点!無効にならないために
借用書を作る上で、いくつか注意しなければならないポイントがありますのでご紹介します。
- 借用書の作成日は金銭を受領した日にする
- 金額は漢数字で書く
- 返済期日は必ず書く
- 借主の住所と氏名は自署で書く
- 金額に応じて収入印紙を貼る
借用書の作成日は金銭を受領した日にする
借用書の作成日は基本的に借主が金銭を受領した日付になります。
表記は西暦・和暦どちらでも構いませんが、令和●●年というような和暦の方が一般的です。
契約書には日付を各項目が2つ以上ありますが、西暦・和暦どちらかで統一させるようにして下さい。

金額は漢数字で書く
借用書の貸し借りした金額の項目は、絶対に漢数字で大きく書きましょう!
普段、私達が使っている数字は「アラビア数字」と呼ばれています。
しかし、アラビア数字だと後から改ざんされる可能性があるので借用書には向いていません。


そのようなことから借用書の金額の欄は、漢数字で書くようにするのが一般的です。
さらに、漢数字も例えば1なら「一」ではなくて「壱」としましょう。
こちらも改ざんを防ぐのが目的です。
下記に借用書で使える漢数字一覧を表にしましたので、作成時の参考にしてみて下さい。
誤った記載 | 正しい記載 |
一 | 壱 |
二 | 弐 |
三 | 参 |
五 | 五、伍 |
十 | 拾 |
百 | 百、陌、佰 |
千 | 千、阡、仟 |
万 | 萬 |
10万 | 壱拾萬 |
※「四・六・七・八・九」は通常の漢数字を使用して構いません
返済期日は必ず書く
いくら貸す側が
「返すのは別に余裕ができてからでいいよ!」
といった場合でも、借用書には必ず返済期日を記載するようにしましょう!
何故かというと、もし貸し借りが家族や親戚の間で行われた場合、返済期日を定めていないと借金ではなく、「贈与」とみなされる場合があるからです。
贈与とみなされると最悪の場合は、贈与税まで加算されることになりますので、返済期日を定める必要があります。
返済期日は、必ず日付で書くようにし、「●カ月後」や「●年以内」「●月中」といった曖昧な書き方ではなく、「令和●●年●月●日」とはっきりした返済期日を記載するようにしましょう。
また、返済が一括では無く分割返済の場合は、
- 1回あたりの返済額
- 具体的な返済期日
- 最終的な返済期限
- 返済の間隔
- 合計の返済回数
も具体的に書いておきましょう!
借主の住所と氏名は自署で書く
もし裁判になった際に、借用書がすべてパソコンで作られたものだと効力が弱くなってしまいます。
それを防ぐために、借主の住所と氏名は必ず借主自身に直筆で書いてもらう必要があります。
また氏名の横に押印することでより、借用書の効力を高めること可能!
その際のハンコも認印でも大丈夫ですが、できれば印鑑証明を取ってきてもらいましょう!
印鑑証明と同じ実印を押してもらうとより効力が高まりますよ!
金額に応じて借用書に収入印紙を貼る
借用書は
- 手形
- 保険証書
- 不動産売買の契約書
といったものと同じで「課税文書」として扱われます。
そのため、貸し借りする金額が1万円以上の場合、収入印紙を貼る必要があります!

収入印紙の額は、貸し借りする金額によって決められます!
契約金額 | 収入印紙の額 |
1万円未満 | 不要 |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 400円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 |
収入印紙は、郵便局やコンビニなどで買うことができますよ!
収入印紙の貼り位置
当サイトが記載している借用書のフォーマットの場合は、左上に貼ることを推進しております。

鋭いですね!
その通りで、借用書に貼る収入印紙の貼り位置に指定はありません。
既存のフォーマットを用意する場合は、事前に収入印紙を貼る箇所が指定されていることもあります。
その場合は、指定箇所に貼りましょう。
基本的には、大きな文字で「借用書」と書かれている箇所のすぐ横の余白に収入印紙を貼っておけばOKです!

収入印紙の割印

借用書に収入印紙を貼った場合は、必ず割印をしましょう。

簡単にいうと
「書面の偽造や収入印紙の再利用を防ぐため」
です。
割印を押す場合は、債権者の割印・債務者の割印のどちらを押しても問題ありませんが、基本的には偽造防止をするためにも、双方の割印を押すことをオススメします。
また、割印をすることで収入印紙を再利用されることを防止可能!
収入印紙は、金券ショップに持ち込めば、金額にもよりますが額面の95%程度で買取をしてもらえるものです。
そのため、割印をしないと収入印紙を剥がされて、再利用されるリスクが発生しますので注意しましょう!
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- Excel
- word
の3種類用意しました!


利息・利率・返済日の決め方
個人間の貸し借りでも、双方がなっとくすれば貸主が利息を設けることができます!
これは個人間で好きな利息を自由に決めていいのですが、その上限が法律で決められています。
少しややこしいのですが、この法律は
- 出資法
- 利息制限法
の2つが混在。
出資法では、年間109.5%を上限に利息を定めてよいことになっていますが、裁判の場合は「利息制限法」に基づいて裁判が行われます。
この利息制限法は契約金の額によって上限が下記のように定められています。
10万円未満 | 年20% |
10万円以上100万円未満 | 年18% |
100万円以上 | 年15% |
貸す側としてはできるだけ高い利息を取りたい場合もあるかも知れません。
しかし、結局裁判になったら利息制限法が適用されるので、最初から利息制限法の上限内で利息を定めておいた方が無難といえます。
また返済日は個人間で自由に決めていいですが、「毎月●日」とできるだけ具体的に決めておきましょう。

まとめ
- 借用書とは?お金の貸し借りには絶対必要!?
- 借用書の書き方!効力を発揮して無効にならないようにしよう!
- 借用書作成時の注意点!無効にならないために
- 借用書のテンプレート(連帯保証人なし)と記入例のダウンロードはコチラ
- 利息・利率・返済日の決め方
以上についてご説明しました!
個人間での貸し借りといえ、借用書はお互いのためにも絶対に用意しておく必要があります。
しかし、書き方を少しでも間違ってしまうと効力が無いものになってしまうのも契約書の怖い所です。
公正役場を作らずに自分で契約書を作る場合は、ぜひこの記事を参考に正しい借用書を作成してください!