経営者にとって事業のための資金繰りは非常に重要な問題です。
新規事業の立ち上げの際、事業継続の為など、状況は違ってもまとまった資金が必要というのは共通の問題だと思います。
当然、無借金経営が理想ですが、ビジネスに不測の事態はつきもの!手持ちの資金のみでは不足することもあるでしょう。
不測の事態に備え、事業資金調達方法についてご紹介します!
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事業融資を受けれる機関

事業融資を受けたいけど・・・、どこの機関で借りたらいいの?
まず、融資を受けたいと思った時に誰しもが持つ疑問だと思います。
事業融資を受けれる機関は主に以下の3つがあります。
- 日本政策金融公庫(国金)
国が運営している金融公庫です。日本政策金融公庫は、財務省管轄で出資金の大半を政府が出資しています。 - 銀行の事業融資
メインバンクはもちろんのこと、地方銀行でも中小企業に向けての融資を行っています。 - 消費者金融(ビジネスローン)
個人・法人問わず融資を受けることが出来ますが、日本政策金融公庫(国金)や銀行より、金利が高い傾向にあります。
ただし、審査から融資までが早い為、急ぎで融資が必要な場合に検討されるようです。
事業資金を借りる方法
では、それぞれの機関において事業資金を借りる方法を紹介していきます。
日本政策金融公庫(国金)
■申込方法
- インターネット申込
- 事業資金相談ダイヤルから申込:0120-154-505
■特徴
日本政策金融公庫には、銀行にはない融資制度に対する特徴があります。
融資制度 | 利用できる方 | 融資限度額 | 融資期間 |
普通貸付 | 事業を営む方 (金融業など、一部利用できない業種あり) |
4,800万円 特定設備資金:7,200万円 |
設備資金:10年以内 特定設備資金:20年以内 運転資金:7年以内 |
経営環境変化対応資金 | 売上減少などの状況が悪化している方 | 4,800万円 | 設備資金:15年以内 運転資金:8年以内 |
新規開業資金 | 新たに事業を始めるまたは事業開始後7年以内の方 | 7,200万円 (うち運転資金4,800万円) |
設備資金:20年以内 運転資金:7年以内 |
中小企業経営力強化資金 | 新事業分野の開拓のために事業計画書を策定し、外部専門家の指導や助言を受けている方 | 7,200万円 (うち運転資金4,800万円) |
設備資金:20年以内 運転資金:7年以内 |
企業活力強化資金 | 卸売業、小売業、飲食サービス業、サービス業または一定の要件を満たす不動産業を営む方で、店舗の新築・増改築や機械設備の導入など | 7,200万円 (うち運転資金4,800万円) |
設備資金:20年以内 運転資金:7年以内 |
企業再建資金 | 中小企業再生支援協議会の関与もしくは民事再生法に基づく再生計画の認可などにより企業の再建を図る方 | 7,200万円 (うち運転資金4,800万円) |
設備資金:20年以内 運転資金:20年以内 |
■参照:https://hihin.net/?p=38588
- 地域の商工会議所と連携している
日本政策金融公庫は地域の商工会議所と連携しており、それぞれの商工会議所が窓口にもなっており、融資や資金繰りの相談が可能です。また、商工会議所には経営指導員という人がおり、経営指導員の経営指導を受けた事業者だけに「マル経融資」という非常に金利の低い融資(1.16%)を受けることができます。 - 金利が低い
特に利用条件の定めがない普通貸付については担保なしで1.81%~2.3%、担保ありで1.16%~2.25%低金利で利用が出来ます。 - 急な資金調達には向いていない(申込から借入まで1ヶ月程度かかります)
- 実績が無くても、無担保無保証で融資をしてくれる
- 信用保証協会の保証とは別枠で融資が受けられる
■審査基準
財務内容が健全か?健全でなくても好転する材料があるかどうか。
融資希望額とその資金使途。融資申込みの事業資金は何に使うのか。申込金額の妥当性。
返済原資・返済見通し。申込の融資金額をどう返済するのか。
銀行
■申込方法
基本的には銀行窓口に赴き、融資の相談を行う形になります。電話などでアポを取ってから相談に行くとスムーズに進むでしょう。
※銀行によっては電話を掛けると担当者が訪問してくれる場合もあります。
インターネットなどでの申込は基本的に対応していません。
■特徴
- 融資は信用保証協会の保証が必須
初めて銀行から事業資金の融資を受ける際には、銀行は無担保無保証での融資をしてもらえません。 - 他金融機関と比べて審査が早い
■審査基準
財務内容が健全か?健全でなくても好転する材料があるかどうか。
融資希望額とその資金使途。融資申込みの事業資金は何に使うのか。申込金額の妥当性。
返済原資・返済見通し。申込の融資金額をどう返済するのか。
担保・保証人(上記3つでイマイチ頼りない場合は担保か保証人を求められます。)
消費者金融(ビジネスローン)
■申込方法
- インターネット
- 店頭窓口、自動契約機
- 電話:0120-07-1000
- 郵送
■特徴
- 日本政策金融公庫や銀行よりも審査に通りやすい
- 日本政策金融公庫や銀行よりも金利が高い
- 事業規模が小さくても、また多少赤字でも利用できる
- 即日融資が受けられる
■審査基準
ビジネスローンの審査に通るには基本的に個人信用情報に委ねられる部分が多いようです。
そのため、信用情報に問題が無ければ基本的には審査には通るようです。

事業資金を借りる際の注意点

まず、一番やってはいけないことは「虚偽内容での申込」です。
嘘の申込内容で申請することは絶対にやめましょう。
融資が通りやすくなるように・・・なんて、考えはダメですよ!
資金を借りようとしている相手はプロです。

しかも、虚偽の申告がバレた時のリスクが非常に高いです。
虚偽内容による申込を行うと、融資は受けられないだけでなく、社会的にも信用を失うことになります。
※安易な虚偽内容の申告は、取り返しの付かない事態を招く原因になります。
また事業資金に限らず、お金を借りる際に最も注意したいのが「金利」です。
急ぎで資金が必要だからと安易に消費者金融(ビジネスローン)に手を出すと、場合によっては10%を超えるような金利がかかってしまう場合もあります。
そのため、事業の継続性を考えるのであれば可能な限り消費者金融(ビジネスローン)は利用せず、資金調達は多少時間がかかったとしても、『日本政策金融公庫(国金)』や『銀行』といった金利が低い機関から融資を受けることが良いでしょう。
事業資金は総量規制の対象にならない!?
総量規制とは?
総量規制とは、個人の借入総額を年収の3分の1までに制限するもので、貸金業法で定義されています。(ただし、例外となる借入もあります。)
総量規制の例外となる借入について
貸付契約には「個人向け貸付」「個人向け保証」「法人向け貸付」「法人向け保証」の4種類があります。総量規制の対象となるのは、「個人向け貸付」のみです。
そのため、「法人向け貸付」と「法人向け保証」と「個人向け保証」については総量規制の対象にはなりません。
事業資金の場合は?
事業資金の借入は、「法人向け貸付」になりますので総量規制の対象外となります。
そのため、借入額が収入の3分の1までという制限がありません。
また、事業資金の借入については個人事業主であっても、法人名義であってもどちらの場合でも事業目的と見なされますので、総量規制の対象外になります。

まとめ
事業資金の審査は、起業のための融資や事業の継続のための運転資金など、利用目的と事業計画を明確にすることが大切になります。
事業資金の借入は、個人で行う一般的な借入の場合と比べると異なる点が多くあります。
個人事業主の方はその違いをしっかりと覚えておきましょう。
個人事業主として融資を受ける際は、個人で受けるカードローンとは異なり
会社の財務内容、融資希望額とその資金使途、返済見通しなどが見られることになります。
この点が問題なくクリアできれば、融資は問題なく受けれるでしょう。
事業資金の融資を受けれるかどうかという点も、事業主としての一つの腕の見せ所になると思います。